大学審議会答申 1996年10月29日

1、大学における教育研究の活性化と教員の流動性

(1)大学における教育研究の活性化

我が国の大学における教育研究の現状に対する厳しい批判にこたえ、多様な課題に対応していくためには、大学改革を進め、大学における教育研究の活性化を図る必要がある。特に、大学教員の果たす役割は大く、採用方法のエ夫とともに採用後の流動性を高めることによって、優れた人材を確保するとともに、多様な経歴・経験を持つ者が切瑳琢磨しつつ、その能力を向上させることが重要である。

(2)教員の流動性を高める取組の現状

 各大学においては、学外の専門家の積極的登用や公募制の活用など採用の改善を図るとともに、弾力的な教育研究組織・体制の工夫等多様な取組を行っているが、未だ不十分であり、教員の流動性を高めるための一層の努力が必要である。

2、大学教員の流動性

(1)教員の流動性向上と任期制導入の意義

@教員の流動性向上による教育研究の活性化

A多様な経験を通じた若手教員の育成

(2)基本的方向

@大学の教員に任期を付けることができるようにしておく必要がある。その際、各大学や学間分野の実情、社会全体の人材の流動性の実態などを踏まえ、各大学の判断で任期制を導入し得る「選択的任期制」とすることが適切で

ある。

A任期制を導入するためは、公務員関連法制や労働関係法制等との関係を明らかにし、制度面を含め、所要の措置を講じることが必要である。

(3)任期制の具体的あり方

法令上は大綱的事項のみを規定し、具体的な運用については、任期制の趣旨を踏まえて、各大学で定めることとするのが適切である。その際、恣意的な運用を避けるため、任期制の導入方法や基準などを十分検討し、学内規則などで明確にしておくことが必要である。

ア 任期制の対象教員

制度上、教授から助手まですべての職を対象とし得ることとし、実際にどの職に導入するかは各大学が判断する。

イ 任期制を導入する単位、導入の方法

導入単位については各大学の判断に委ねる。学部・学科等一定の組織を単位として職を指定し、その職に就く者に任期をつける方法、及び、外部からの特定のプロジェクト担当の教授などとして招聘する際に任期を付ける方法が考えられる。

ウ 導入を決定する機関

 国公立大学にあっては、評議会の議に基づき学長が決定する。私立大学にあっては、学長など教学側の意見を十分踏まえて、最終的に理事会において決定する。

エ 任期の期間

 任期の期間については、各大学において定める。

オ・再任の取扱い等

 大学の判断により、任期満了者の再任を妨げない運用も、再任を認めない運用も可能とする。

(4)教員の業績評価の在り方

任期制の導入の有無にかかわらず、教育研究の活性化を図る上で、業績評価が適切に行われる必要がある。大学教員が教育者と研究者の両方の側面を有していることを踏まえ、教育面を含めて各大学で様々なエ夫を行い、評価の基準や方法を確立していくことが基本である。

3、関連施策の推進

 任期制をはじめとする各大学における教員の流動性向上のための取組を支援するため、@教育研究環境の整備充実、A教員採用に関する情報提供の充実等、B若手教員の発想を生かした教育研究の推進、C教員の処遇の改善、D産官学の交流の促進等に関する施策を推進する必要がある。