「大学教員の任期制法案」の廃案を求める決議
               1997年4月15日 東京地区大学教職員組合協議会
 政府は、四月八日の閣議で「大学教員の任期制法案」を決定した。
我々は、任期制法案が我が国の高等教育と学問研究に重大な障害をもたらすことに警鐘をならし、また任期制法案が全労働者に対する期限付き雇用制度導入の突破口になり、大規模なリストラ合理化の手段となる危険性を強く訴えてきた。
大学教職員組合をはじめ広範な関係者などの反対を無視して強引に閣議決定をしたことに対して怒りを持って糾弾すると同時に、法案を撤回することを要求する。
 法案は、「流動型」「研究助手型」「プロジェクト対応型」の場合に任期を付した任用をおこなうことができるとしている。「流動型」「プロジェクト対応型」では「先端的、学際的、総合的教育研究そして大学が定め参画する計画の職に就ける」と規定している。これらは一見任期制付雇用の範囲を限定しているように見えるが、これらは大学遂行している研究教育そのものであり、少なくとも今後新たに設立される教育研究組織には全て任期を付けることにもつながつものである。
財界の21世紀戦略に沿った文部省の財政誘導による教育研究組織の設定が一層強まるとともに、任期が来たら退職という教員の身分不安定は、教員の無権利状態を拡大し、大学が歴史の教訓から得た学問の自由をはじめとする貴重な財産は全て失われるといっても過言ではない。更に法案は、「研究助手型」への任用で、若手研究者使い捨ての方針をはっきりと打ち出している。任期制の助手は生活不安定の中で研究活動のみに駆り立てられることにり、同時に従来の助手が担ってきた教育分野の活動は全て切り捨てられ、定員削減でただでさえなおざりにされつつある基本的教育活動は更に荒廃し、大学教育は根本から崩壊する危険性をはらんでいる。
 法案は、大学審答申でさえ言及していた任期制教員の待遇、国家公務員法等の身分保障を含む関係法との関連については一切無視しており、大学の教育研究をまじめに発展させるという真意はどこにも見ることはできない。
 法案は私立大学の場合は、「労働契約において任期を定めることができる」としてる。これは理事会が労働組合との労働協約を無視して教員の首を切れることを意味し、このような行為が多くの大学で日常化されれば、全労働者への任期制付雇用拡大は極めて現実的な問題になると考えられる。
 法案は、大学の一部にある停滞をまじめに憂い任期制に期待をよせてきた人達にも大きな失望を与えたものと思われる。特に学生職員が切望している授業・内容の改善充実等にはほど遠いものと断言できる。
 こうして法案は、大学教員の大量解雇につながるまさに「大学教員解雇自由化法」であり、そして全労働者の労働条件を極めて不安定にするものであることが一層明確になった。
 我々は、大学の人材確保、教育研究の活性化は任期制法制化によるのではなく、教職員の待遇改善や大学予算の大幅増額など教育研究条件を抜本的に改善し、大学の民主的運営によってはじめて可能であることを再度強調しておきたい。
 我々は、大学教職員の良心のあかしとして、法案の成立を阻止するために全国連絡会議に結集し、又これまで任期制法制化に期待をよせていた人々に対しても法案の危険性を訴え、反対運動を広げる決意を表明する。