1996年11月22日
       大学教員の任期制法制化に反対する決議
 大学審議会は10月29日、「大学教員の任期制について」の答申を文部大臣に提
出した。またこれにさきだって、7月に閣議決定された「科学技術基本計画では、国
立試験研究機関の研究者および大学教官に対する任期制の導入がうたわれている。政
府・文部省はその線に沿って任期制の法制化を進めようとしており、そのための法案
を来春の国会に提出しようとしている。現在進められようとしている任期制は、プロ
ジェクト研究等の必要性から各大学の自主的な判断によって従来から部分的に実施さ
れていた紳土協定による任期制とは根本的に異なり、法的強制力によって一定の任期
の後、大学教員を解雇することを可能にするものである。
 現在大学では、狭い研究・教育施設、不十分かつ老朽化した研究・教育設備、きわ
めて貧困な研究・教育費、定員削減による人手不足、これらに伴う超多忙化など、年
々劣悪化する環境の中で、教員・事務員は研究・教育活性化のために日々大変な努力
をしている。文部省は、こうした劣悪な研究・教育環境の改善に努め、日々奮闘する
教員・事務官の待遇改善に努めるべきである。しかるに、大学の研究・教育の活性化
のために必要な本質的解決をすることなく、大学教員の奮闘を無視して「大学活性化
」の名の下に任期制を導入するなど、もっての外である。
 答申は日本の大学が閉鎖的で停滞しているという認識に基づいているが、大学は国
、公、私立、総合、単科などの設置形態、規模、現在にいたる歴史等の点でそれぞれ
異なり、また、専門分野において多様であり、一律に「閉鎖的で停滞」と規定するこ
とは無意味である。また、答申が「大学活性化」のためと称して打ち出している任期
制は、上であげた研究・教育の質の低下の本質的要因を棚上げにして矛先をかわすも
ので、大学の活性化にはつながらない。また、このような雇用形態はアメリカ、ヨー
ロッパなどの諸外国を見ても例のない劣悪なもので、若い優秀な人材確保は困難とな
る。さらに、任期制が法制化されると学問の自由が保証されなくなり、研究・教育の
ポテンシャルが下がる。
 したがって、任期制は「大学の活性化」をもたらすどころか、大学の研究・教育現
場を混乱させ、機能低下を引き起こすものである。島根大学教職員組合は、大学教員
に対する任期制の導入・法制化に反対して、国公私立の設置の違いをこえて共同して
闘うものである。また、真の大学活性化のために、校費大幅増額、設備・建物の改善
・充実、技官・事務官の大幅増員、教員に対する研究費・旅費などの増額および待遇
改善、若手教育研究者の確保のためのポストドクター制度の充実、を強く求めるもの
である。
                  島根大学教職員組合           
                 「任期制」導入の諸問題を考える緊急集会