教育と研究を破壊する任期制の導入に反対し、
       大学教員等の任期制法案の廃案を求める決議
                  1997年5月16日
                  日本科学者会議栃木支部第26回定期大会
 私たち代議員は政府・文部省が今国会で成立をねらっている『大学教員の任期制法
案』等の内容をつぶさに検討した結果、それが実施された場合、以下のような問題が
生ずることを認めた。よって、このような任期制の導入に反対し、その廃案を求める
ことを強く訴える。
1.長期的あるいは困難な研究テーマの回避や優秀な人材が大学に集まらなくなるな
ど,研究の発展を阻害する.
2.教員が研究に追われ,その結果教育が軽視されるおそれが大である.
3.教員の任期切れにより、院生や学生の指導が途中で放棄されるおそれがあると同
時に,特定の教員の指導を目的に受験者が大学や大学院を選ぶことができなくなる.
4.個人の研究・教育活動を公正・適切に評価する手だての見込みがないため,論文
数だけの機械的な評価,あるいは恣意的な評価による不適切な人事が行われるおそれが大きい.
5.身分の不安定さなどを利用した教育・研究内容への干渉により、学問の自由が侵
害されるおそれが大で  ある.
6.大学教員の任期制法制化をきっかけにして他の職種にも任期付き雇用が拡大する
おそれがあり,個人の権利を奪い,いっそう過剰な競争社会をもたらすものである.
 
 大学における教育・研究の真の活性化とは本来、大学の自治・学問の自由の保障の
もとで、国民に直接責任を負い、国民に開かれた大学をつくる立場からの大学教員の
自主的努力によるべきものである。私たちは大学における民主的な管理運営体制づく
りを不断に追求し、絶えず自己点検・評価の活動を強化し、よりよい大学をめざすこ
とを誓うとともに、政府・文部省に対して、貧困な大学予算の抜本的な改善を行うこ
と、定員削減政策をやめ、大学の教職員の定員を大幅に増やすこと、大学間格差を是
正すること、そして財政誘導的強制による不当な官僚統制を即刻やめることを要求する。
 また、同時並行的に審議されている『一般職の任期付研究員の採用、給与及び職務
時間の特例に関する法律案』についても、研究公務員の身分を不安定にし、基礎的で
地道な、真に国民に役立つ科学研究の発展を阻害する役目を果たすものとして、その
成立に反対し、廃案を要求する。