大学教員任期制法=大学教員解雇自由化法に反対する
                      千葉大学教職員組合連絡協議会
任期制法案の本質は大学教員解雇自由化法
大学審議会の答申に基づき文部省は大学教員への任期制導入を可能にする法案を次の
通常国会に提出しようとしています。文部省によれば、任期制導入を可能にするため
に、(1)国家公務員に任期をつけることを禁じている国家公務員法・人事院規則、
(2)1年以上の期間を定めた労働契約を禁じている労働基準法第14条、の2つを
「改正」するとしています。前者は国立大学教員に、後者は私立大学教員への導入の
ためです。さらに、これに伴い、期限なしの雇用を前提とした現行の給与、退職金、
年金制度の改変にも及ぶことは必至です。すでに、文部省は、人事院などに任期制施
行のもとでの教員の給与などについて検討を要請しています。これらは、「大学教員
等の任期に関する法律案」として一本化され、次の通常国会へ提出されようとしてい
ます。
これは、任期制に名を借りた、大学教員解雇自由化法ともいうべきものです。そして
、大学が政治と権力に踏みにじられた苦い経験への反省から第2次大戦後確立された
大学教員の身分保障の法的根拠(教育公務員特例法)を、事実上抹殺するものです。
教員をスケープゴートにした労基法14条撤廃と「行革」推進
ここで浮かび上がるのは、この任期制導入の真の狙いの1つが、雇用者による恣意的
な解雇を制限してきた労働基準法第14条の撤廃にあることです。総資本の側はかね
てから同条を廃止し、期限付きの雇用によって人件費の削減が可能となること追求し
ていましたが、さすがに組合側の反対で実現できずにいました。それを,大学活性化
のための名のもとに一気に長年の要求を実現しようとするものです。大学教員はその
スケープゴートであり、次に来るものは、公務員そして全労働者における期限付き雇
用の普遍化です。
大学教員がターゲットとされるもう1つの動きがあります。行政改革なるものです。
政官業の腐敗した癒着に対する国民の正当な怒りを「行政改革」という名の公務員の
削減にすりかえようというのです。大学活性化や人事の流動性確保は単なるうたい文
句で、真の狙いは「大学教員解雇自由化法」によって大学教員を削減し、「行革」の
点数稼ぎをしようとする現実的危険性があります。
いま必要なのは、任期制を拒絶する勇気
昨年、大学審議会が中間報告として教員任期制を打ち出したものの各大学では慎重論
が相次ぎ、6月の国立大学協会総会では任期制はほとんど議論さえ行なわれていませ
ん。ところが、11月の国立大学学長懇談会以降「世論を考慮すれば導入やむなし」
との雰囲気が各大学執行部のなかで広がっていると伝えられています。確かに、大学
は国民の期待に応えるべく自己改革が必要です。しかし、いったい、教員が安心して
働けなくてどうしてよい教育研究活動ができるのでしょうか。そこには、短期的成果
にのみ血眼で殺伐たる、もはや大学とは呼べぬ空間がひろがります。つまり大学は解
体されるのです。いま大学にとって必要なことは、大学を解体へと導く任期制をはっ
きり拒否する勇気です。この勇気こそ、人々とその歴史に応える道なのです。
私達は、大学教員に特権的な雇用環境を求めているのではありません。すべての人々
が安心して働ける安定した雇用関係を法制的に保証し、そのことによって労働が一人
ひとりの喜びとなる社会を望んでいるのです。ところが、任期制の導入は先に述べた
ように、働くすべての人々にかかわる労働基準法14条撤廃の露払いです。大学教員
に始まる任期制が、公務員全体へひろがり、やがて働くすべての人々を期限付き雇用
へと追い込むことを私達は真剣に懸念しているのです。大学における労働組合として
、私達は、「人たるに値する生活を営むための必要を充たす」(労働基準法1条)条
件を維持し、発展させるために、任期制法=大学教員解雇自由化法反対の闘いに全力
を尽くすものです。