大学の教員の任期に関する法律案要綱

(一九九七年四月八日閣議決定し、国会に上程)

第一 目的

この法律は、大学等において多様な知識又は経験を有する教員等相当の学問的交流が不断に行われる状況を創出することが大学等における教育研究の活性化にとって重要であることにかんがみ、任期を定めることができる場合その他教員等の任期について必要な事項を定めることにより、大学等への多様な人材の受入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与することを目的とすること。(第一条関係)

第二 定義

「大学」、「教員」、「教員等」及び「任期」の定義を設けること。(第二条関係)

第三 国立又は公立の大学の教員の任期

一、国立又は公立の大学の大学管理機関(教育公務員特例法第四条第2項に規定する大学管理機関をいい、同法第25条第一項第二号の規定により読み替えられたものを含む。二において同じ。)は、当該大学の教員(常時勤務の者に限る。以下一、二及び三において同じ。)について三の任期を定めた任用を行う必要があると認めるときは、教員の任期に関する規則を定めなければならないとこととすること。

(第三条第一項関係)

二、国立又は公立の大学は、一により大学管理機関が教員の任期に関する規則を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならないこととすること。(第三条第二項関係)

三、任命権者は、一の教員の任期に関する規則が定められている大学について、教育公務員特例法第十条の規定に基づきその教員を任用する場合において、次のいずれかに該当するときは、任期を定めることができることとすること。この場合には、当該任用される者の同意を得なければならないこととすること。(第四条関係)

1 先端的、学際的又は総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき。

2 助手の職で自ら研究目標を定めて研究を行うことをその職務の主たる内容とするものに就けるとき。

3 大学が定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき。

第四 私立の大学の教員の任期

一、 学校法人は、当該学校法人の設置する大学の教員について、第三の三の1から3までのいずれかに該当するときは、労働契約において任期を定めることができること。この 場合においては、あらかじめ、当該大学に係る教員の任期に関する規則を定めておかなければならないこととすること。(第五条第一項及び第二項関係)

二、一の教員の任期に関する規則について、これを定める場合(変更する場合を含む。)の学長の意見聴取及び定めた場合(変更した場合を含む。)の公表について定めること。(第五条第三項及び第四項関係)

三、一により定められた任期は、教員が当該任期中(当該任期が始まる日から一年以内の期間を除く。)にその意思により退職することを妨げるものであってはならないこととすること。(第五条第五項関係)

第五 大学共同利用機関等の職員への準用

大学共同利用機関等の職員のうち専ら研究又は教育に従事する者への準用規定を設けること。(第六条関係)

第六 附則

この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。


大学の教員等の任期に関する法律案

(目的)

第一条 この法律は、大学等において多様な知識又は経験を有する教員等相互の学問的交流が不断に行われる状況を創出することが大学等における教育研究の活性化にとって重要であることにかんがみ、任期を定めることができる場合その他教員等の任期について必要な事項を定めることにより、大学等への多様な人材の受入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 大学 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学をいう。

二 教員 大学の教授、助教授、講師及び助手をいう。

三 教員等 教員及び国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)第三章の三から第三章の六までに規定する機関(第六条において「大学共同利用機関等」という。)の職員 のうち専ら研究又は教育に従事する者をいう。

四 任期 国家公務員として教員等若しくは地方公務員として教員の任用に際して、又は学校法人(私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人をいう。以下同じ。)と教員との労働契約において定められた期間であって、国家公務員である教員等にあっては当該教員等が就いていた職若しくは他の国家公務員の職(特別職に属する職及び非常勤の職を除く。)に、地方公務員である教員にあっては当該教員が就いていた職若しくは同一の地方公共団体の他の職(特別職に属する職及び非常勤の職を除く。)に引き続き任用される場合又は同一の学校法人との間で引き続き労働契約が締結される場合を除き、当該期間の満了により退職することとなるものをいう。

(国立又は公立の大学の教員の任期)

第三条 国立又は公立の大学の大学管理機関(教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第四条第二項に規定する大学管理機関をいい、同法第二十五条第一項第二号の規定により読み替えられたものを含む。次項において同じ。)は、当該大学の教員(常時勤務の者に限る。以下この条及び及び次条において同じ。)について、次条の規定による任期を定めた任用を行う必要があると認めるときは、教員の任期に関する規則を定めなければならない。

2 国立又は公立の大学は、前項の規定により大学管理機関が教員の任期に関する規則を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

3 第一項の教員の任期に関する規則に記載すべき事項及び前項の公表の方法については、文部省令で定める。

第四条 任命権者は、前条第一項の教員の任期に関する規則が定められている大学について、教育公務員特例法第十条の規定に基づきその教員を任用する場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、任期を定めることができる。

一 先端的、学際的又は総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき。

二 助手の職で自ら研究目標を定めて研究を行うことをその職務の主たる内容とするものに就けるとき。

三 大学が定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき。

2 任命権者は、前項の規定により任期を定めて教員を任用する場合には、当該任用される者の同意を得なければならない。

 (私立の大学の教員の任期)

第五条 学校法人は、当該学校法人の設置する大学の教員について、前条第一項各号のいずれかに該当するときは、労働契約において任期を定めることができる。

2 学校法人は、前項の規定により教員との労働契約において任期を定めようとするときは、あらかじめ、当該大学に係る教員の任期に関する規則を定めておかなければならない。

3 学校法人は、前項の教員の任期に関する規則を定め、又はこれを変更しようとするときは、当該大学の学長の意見を聴くものとする。

4 学校法人は、第二項の教員の任期に関する規則を定め、又はこれを変更したときは、これを公表するものとする。

5 第一項の規定により定められた任期は、教員が当該任期中(当該任期が始まる日から一年以内の期間を除く。)にその意思により退職することを妨げるものであってはならない。

 

(大学共同利用機関等の職員への準用)

第六条 第三条及び第四条の規定は、大学共同利用機関等の職員のうち専ら研究又は教育に従事する者について準用する。この場合において、第三条第一項中「国立又は公立の大学の大学管理機関(教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第四条第二項に規定する大学管理機関をいい、同法第二十五条第一項第二号の規定により読み替えられたものを含む。次項において同じ。)」とあるのは「文部省令で定めるところにより任命権者」と、同条第二項中「国立又は公立の大学」とあるのは「文部大臣」と、「大学管理機関」とあるのは「文部省令で定めるところにより任命権者」と、第四条第一項中「教育公務員特例法第十条の規定に基づきその」とあるのは「その」と、「任期を」とあるのは「文部省令で定めるところにより任期を」と読み替えるものとする。

附則

 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 

理由

 大学等において多様な知識又は経験を有する教員等相互の学問的交流が不断に行われる状況を創出することが大学等における教育研究の活性化にとって重要であることにかんがみ、大学等における教育研究の進展に寄与するため、任期を定めることができる場合その他教員等の任期について必要な事項を定め、大学等への多様な人材の受入れを図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。